太平洋の奇跡−フォックスと呼ばれた男−
昨日封切りとなった『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』を
観てまいりました。そこで私なりの感想などお話ししてみます。
最初にざっと、あらすじというと、
太平洋戦争下、わずか47人で4万5000人の米軍を相手に、サイパン
でのゲリラ戦で米軍に「フォックス」と呼ばれ恐れられた大場栄大尉
の実話を映画化したものです。
【大場大尉を演じる竹野内豊】
※マッスル系でも、強烈な個性系でもないところが逆にグッドな配役
公開2日目の観賞でしたが、席はほぼ満席!そんなに世間で関心のある
映画なんだ!と、かなりびっくりしました。
私はヤフー映画での評価を参考に映画を観にいくことが多いのですが、
このブログを書いている段階での評価は「3.89点」。
4点以上を力作とすれば、ちょっとそれには劣る評価になっています。
でも私の評価は、素直にとてもいい映画だったと思います。
きっと、派手なドンパチ、ランボーばりのアクションなど娯楽目的で
観に行かれたかたが、きっとがっかりして、つまらない、退屈だとか
の評価になったのでしょう。
観る視点によって評価は変わるものです。
私の見るところ、観客の多くは50代以上、いや、もっとうえのご年配
のかたがけっこう多かったように思います。
ですから、この方たちが評価を入れておられれば、かなり高い評価に
なるものと思われます。
さて、この映画ですが、日本映画といいながら、初っぱなから英語が
ベースで物語りが進んでいきます。
さながら、アメリカ映画のような印象を受けました。
映画は実話をもとに描かれているので、奇襲で勇猛果敢に戦うという
シーンより、どちらかというと逃げ回るかのような地味な演出でした。
ほんとうは蒸し暑いはずが、暑そうな演出もなく、そして食料不足の
飢餓演出もほとんどなく、淡々と過酷な日々が描かれていました。
描きたかったのはそんなリアリティではなく、戦争のなかで生き延び
ていく人たち、それぞれの「思い」であったのではないかと思います。
クライマックスは、大場大尉以下47名の兵士が歩兵銃を担ぎ、捕虜
収容所の婦人たちが縫い上げ、大場隊に届けた新しい軍服を身につけ
軍歌を歌いながら整然と行進していく姿でした。
隊の先頭には、降伏を意味する白旗でなく、日の丸の日章旗が掲げ
られていました。
玉砕の島あのサイパンで、最後まで軍人として、日本人として行動し
た大場隊。
大場大尉がルイス大尉に言った、
「私は(フォックスなどではなく)ただひたすら戦っただけのことだ」
「私はこの島で褒められるようなことはなにひとつしていない」
英雄ぶらないこの言葉にすごく感銘を受けました。
日本映画であれば、捕虜の辱めを受けることをよしとせず、自刃して
果てるというストーリーなんでしょうが、事実は生き残ることを選択
しているのです。
生きて祖国に帰られたのちも、サイパンで亡くなった戦友を思い、
辛い日々を過ごされたのではないかと想像しました。
いずれにせよ、こういう方たちのおかげで、いまの平和があることを
忘れてはいけないと思いました。