今年の流行語「ただちに・・・」への雑感など
今年もあと数日で終わりとなってきましたので、今年話題になった
ことばについての雑感でも書いてみましょう。
事故では、枝野官房長官の会見を固唾をのんで聞き入りました。
その会見で出た原発事故の「ただちに影響はない」という言葉に
よって、すこしほっとしたり、でもほんとうに大丈夫なんだろうかと
疑ってみたりしました。
この「ただちに」に関する類似用法としては、以下のようなものが
ありました。
「ただちに避難する状況ではない」
「ただちに禁止すべき状況にない」
「ただちに人体に影響はない」
この「ただちに・・・」については、
----------------------------------------------------
無用なパニックや、無関係なものへの風評被害を押さえ
る目的があっての言葉なのだと好意的に解釈するひと
その一方で、
---------------------------------------------
「政府は隠している」または、「国民を騙している」 と政府
を糾弾するひと
がいたように思います。(現在進行形?)
そこで、今頃、冷静に考えてみると、
----------------------------------------------------
「ただちに○○に影響がない」 とは、短期的に見て、いま
すぐ影響が出ることはないけれども、その先は分からない、
長期的な影響はわからないという意味ですよね。
つまり、「状況がさらに変化したら、その前提条件も変わる」
という、きわめて当たり前な意味なのでしょう。
だから、よくわからない状況での発表のしかたとしては、
-----------------------------------------------------現段階では 「直ちに健康に影響はない」につなげてですね、
「ただし長期的な影響については調査中です」、もしくは、、
「現段階のレベルが続くのであれば問題はない」
なーんて、もうちょっとていねいに発表すべきではなかったのか
などと思っています。
それにしても、(散々既出ですけど)
-----------------------------------------------------
不安なときこそ、わたしたちが自分である程度判断できる、
正しい数値と基準を、迅速に、かつしっかり提示してもらう
ことが必要だということを痛切に感じました。
追記:
2011/12/26 20:45 日経新聞
福島第一原発事故の事故調査・検証委員会の中間報告では、
情報公開において、報道発表を控えたり、説明を曖昧にしたり
する傾向がみられた。
TBSの本朝の報道によると、
対応していなかった
・官邸の地下対策室で携帯が使えず、首相のいる官邸5階との
情報共有ができていなかった
そもそも官邸に危機管理能力がないってのは、散々既出なこと
であって、なにを今さらな感じもいたします。