「返報性の原理」って原理、ご存じですか?

なにやら難しそうなお話しだと、どん引きされているかもしれませんね。

言葉としては難しそうですが、人の持つ行動心理のお話しなのです。

では、今日のお話しに入りましょう。

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通常、ひとは他人から何らかの施しを受けると、そのお返しをしなけ

ればならないという感情を抱きます。

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このことを「返報性(へんぽうせい)の原理」といいます。

この「返報性」って言葉、社会心理学者のロバート・チャルディーニが、

営業マンや広告主の交渉テクニックを分析した『影響力の武器 』という

著書のなかで、取りあげて広まったものです。

shuttlexの備忘録と私的雑感

ここでいう、「返報性の原理」を具体的な事例でご紹介しますと、次の

ような行動になります。

【事例1】

家電量販店に地デジテレビを下見に行っただけなのに、店員さんが

親切ていねいに説明してもらったので、下見のはずが思わず買って

しまった。

【事例2】

デパートやスーパーで熱心に試食を勧められたものだから、思わず

買ってしまった。

このように、相手の好意ある一生懸命な姿に、思わず応えてしまった

という経験がまさしく、この「返報性」なのです。

あなたにも、こんな行動って、あるのではないでしょうか?

では、この行動心理を使って、先週で終わったドラマ『仁-JIN-』を読み

解いてみましょう。

江戸のタイムスリップした仁先生、最初は怪訝な目でみられていた

先生ですが、けがや病気で苦しんでいるひとを、何の対価も求めず、

ひたすら助けようとする姿を見て、逆に助けようとするひとたちが自

然と集まり、仁友堂という医院が誕生しましたよね。

これも人が持つ「返報性の原理」が反映された結果だと思わ

ます。この「返報性の原理」、これは時代に関係なく、人間の持

つ普遍的な行動心理なのです。

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つまり、ひとには、「好意には好意で報いる」、「受けた恩は必ず返す」と

いう、もらいっぱなしの状態に居心地の悪さを感じるという心理を持って

いるのです。

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この心理を悪用したような事件というと、かつての豊田商事事件です。

一人暮らしで寂しくしているお年寄りに親切にして、大金を騙し取った

というものでしたね。

こんな例はさておき、だれかに好意を寄せてほしかったら、まずは、

こちらから最初に好意を示す(何かをしてあげる)ことが、人間関係を

良好にするポイントなのです。

この本、心理面から人間の行動を理解できるので、たいへん勉強にな

なります。

追記:6月30日

今回のドラマ仁の例でいうと、この「返報性」に加えて、「共感」という

キーワードもありますよね。

ウキペディアによると、共感とは、他者と喜怒哀楽の感情を共有する

ことを指す。もしくはその感情のこと。たとえば知り合いがつらい表情

をしているとき、相手が「つらい思いをしているのだ」ということがわか

るだけでなく、自分もつらい感情を持つのがこれである。

通常は、人間に本能的に備わっている感情である。