「がんばってください」はタブーについて考えてみる

昨日、お仕事でお付き合いのある医療機関のかたとお話しする

機会があったのですが、その方から聞いた話しから表題のことを

考えてみましょう。

そのかたは医療ボランティアで数日前まで石巻方面で活動されて

こられたとのことでした。

すでにあの大震災の日からひと月が経過してくると、避難所のなか

の被災者のみなさんの心模様がいろいろ出てきているようなのです。

活動しているときに注意したこととしては、「がんばってください」は

使わないようにしたのだそうです。

それは「これ以上、どう、がんばればいいの」ってくらい追い込まれて

いる方への配慮なんだそうです。

さらには、避難所のなかの被災者同士でも、あの人の家はまだある

けど、私の家はないとか、あのひとは避難所でも働いている、いない

などと、被災者のなかにも温度差が生れてきているそうです。

だから、あまり避難所でのそんな心の機微にとらわれずに、言われた

ことを「はい、はい、わかりました。」って、黙々とやって差し上げるのが

いちばん被災者のためになるのだそうです。

だから、医療ボランティアで行ったのに、使いっぱしりのような仕事を

していたと笑って語っておれれました。

なるほど、なるほど。

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被災された方の受けた被災の大きさ、心のダメージによって、

いまの現実のとらえ方もかわってくるのでしょう。

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「がんばってください」はタブーと一律に言われても、私がその場所に

いたら、その言葉以外になかなかよい言葉が見つからないのです。

前向きにとらえられるひとには「がんばってください」でいいと思うし、

心のダメージが大きいひとにはそっとしておくしかできないかもしれ

ません。

がんで入院した友人の見舞いにいったときも、「とにかく、がんばれ!」、

「ああ、がんばるよ」とか、「また、来るね」、「ああ」って会話しかしないし。

がんばれの言葉に含まれている相手を思いやるニュアンスっていう

のかなあ、この部分は、私のことを知ってくれている近いひと以外に

は、うまく伝えられないかもしれません。

うーん、だから、私の掛ける言葉は、

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「お辛いでしょうけど、がんばってください」

「わたしもがんばります。だから、あなたもがんばってください。」

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になるのかなあ~っと思うわけです。