急きょ、大晦日に泊まることになった京都祇園。
チェックインしたのち、ホテルのフロントさんに、「初詣」といえば
どちらでしょうと尋ねたところ、
---------------------------------------------------------
まあ、八坂さん、平安神宮くらいでしょうか。
特に大晦日の八坂さんは、「おけら参り」とゆーて、京都では
有名なお参りがごさいますのや。
---------------------------------------------------------
大晦日、除夜の鐘をききながら八坂神社におけら参りに行くと
いうのが、京都の伝統的な年越しのスタイルなんだそうです。
へえ、そんなのがあるんだ!!
さすがは京都だけあるもんだと、ホテルを後にして八坂神社へ
向かったのですが、静かな京都らしい通りを進んでいると、前
方から若いカップルがこちらに向かってくるのです。
そして、背の高いお兄ちゃんがなにやら、くるくると回しています!!
これが、フロントさんに教えてもらった「おけら火」なんだな。
京都祇園の街中なので、街に明かりがないので遠くからも縄に
ついた火種がよーくわかります。
そしてすれ違ったあとには、藁の燃える匂いがしてきました。
デジカメ写真に撮りたかったのですが、まずいかと止めました。
しかし、この火縄、電車やバスには乗れないので、きっと近所の
ひとなんでしょう。
【大晦日でライトアップされた八坂神社の西楼門】
デジカメ画像のブレは初詣を待つ大群衆のなかで、腕を頭上に
上げた状態で撮ったものゆえ、ご容赦ください。
さて、この「おけら参り」という風習をネットで検索してみたところ、
------------------------------------------------------
「おけら参り」の風習は、京都の人なら、みな知っており、京に
古くから伝わる無病息災を願う正月迎えの行事なのだそうです。
------------------------------------------------------大晦日の夜は、紅白をみながら年越し蕎麦(晦日そば)を食べます。
そして、紅白が終わり、ゆく年くる年が始まりだすと家族で「おけら
参り」にでかけるそうです。
まあ、一般的には、「初詣に行く」ということなんですけどね。
「おけら参り」の「おけら」なんですが、キク科の多年草のことで、
漢字では「白朮(ビャクジュツ)」と書く薬草だそうです。
【これがおけら草】
かつては京都市周辺の山麓に広く自生していたそうで、これを
胃腸薬として売り歩いていたそうです。
八坂神社は、疫病除けとして信仰が厚く、境内でこのおけらを
育てているとのこと。
このおけら草は、お正月に飲むお屠蘇(とそ)の原料にもされます。
八坂神社の境内には、おけら木を焼く「おけら灯籠」があります。
【おけら灯籠で縄に火をつける様子】
------------------------------------------------------------
まず、12月28日に八坂神社で『鑚火式』(さんかしき)が行われます。
これは火種を起こす神事で、火のつき方などで翌年の吉凶を占います。
午前5時、烏帽子、狩衣姿の宮司が、桧の杵と臼で浄火を鑽(き)り出し、
「おけら灯籠」に移します。
その火は本殿内に年中絶やすことなく灯しつづけられます。
------------------------------------------------------------
奉納された白朮木(護摩木)をおけら灯籠で焼き、そのなかに厄除け
としてその根を焼くと強烈なにおいを放つ「おけら」がくべられたそう
です。
その火を縄にともして、その火が消えないようにくるくる回しながら
帰り、持ち帰ったおけら火で、元日の雑煮を煮たり,神棚や仏壇の
灯明をともしていたそうです。
一年の無病息災を祈る「おけら参り」という風習に、京の古い歴史を
感じた私でした。