京都八坂神社の「おけら参り」に歴史を感じました

急きょ、大晦日に泊まることになった京都祇園

チェックインしたのち、ホテルのフロントさんに、「初詣」といえば

どちらでしょうと尋ねたところ、

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まあ、八坂さん、平安神宮くらいでしょうか。

特に大晦日の八坂さんは、「おけら参り」とゆーて、京都では

有名なお参りがごさいますのや。

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大晦日、除夜の鐘をききながら八坂神社におけら参りに行くと

いうのが、京都の伝統的な年越しのスタイルなんだそうです。

へえ、そんなのがあるんだ!!

さすがは京都だけあるもんだと、ホテルを後にして八坂神社へ

向かったのですが、静かな京都らしい通りを進んでいると、前

方から若いカップルがこちらに向かってくるのです。

そして、背の高いお兄ちゃんがなにやら、くるくると回しています!!

これが、フロントさんに教えてもらった「おけら火」なんだな。

京都祇園の街中なので、街に明かりがないので遠くからも縄に

ついた火種がよーくわかります。

そしてすれ違ったあとには、藁の燃える匂いがしてきました。

デジカメ写真に撮りたかったのですが、まずいかと止めました。

しかし、この火縄、電車やバスには乗れないので、きっと近所の

ひとなんでしょう。

【大晦日でライトアップされた八坂神社の西楼門】

デジカメ画像のブレは初詣を待つ大群衆のなかで、腕を頭上に

上げた状態で撮ったものゆえ、ご容赦ください。

shuttlexの備忘録と私的雑感

さて、この「おけら参り」という風習をネットで検索してみたところ、

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「おけら参り」の風習は、京都の人なら、みな知っており、京に

古くから伝わる無病息災を願う正月迎えの行事なのだそうです。

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大晦日の夜は、紅白をみながら年越し蕎麦(晦日そば)を食べます。

そして、紅白が終わり、ゆく年くる年が始まりだすと家族で「おけら

参り」にでかけるそうです。

まあ、一般的には、「初詣に行く」ということなんですけどね。

「おけら参り」の「おけら」なんですが、キク科の多年草のことで、

漢字では「白朮(ビャクジュツ)」と書く薬草だそうです。

【これがおけら草】

shuttlexの備忘録と私的雑感

かつては京都市周辺の山麓に広く自生していたそうで、これを

胃腸薬として売り歩いていたそうです。

八坂神社は、疫病除けとして信仰が厚く、境内でこのおけらを

育てているとのこと。

このおけら草は、お正月に飲むお屠蘇(とそ)の原料にもされます。

八坂神社の境内には、おけら木を焼く「おけら灯籠」があります。

【おけら灯籠で縄に火をつける様子】

shuttlexの備忘録と私的雑感

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まず、12月28日に八坂神社で『鑚火式』(さんかしき)が行われます。

これは火種を起こす神事で、火のつき方などで翌年の吉凶を占います。

午前5時、烏帽子、狩衣姿の宮司が、桧の杵と臼で浄火を鑽(き)り出し、

「おけら灯籠」に移します。

その火は本殿内に年中絶やすことなく灯しつづけられます。

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奉納された白朮木(護摩木)をおけら灯籠で焼き、そのなかに厄除け

としてその根を焼くと強烈なにおいを放つ「おけら」がくべられたそう

です。

その火を縄にともして、その火が消えないようにくるくる回しながら

帰り、持ち帰ったおけら火で、元日の雑煮を煮たり,神棚や仏壇の

灯明をともしていたそうです。

一年の無病息災を祈る「おけら参り」という風習に、京の古い歴史を

感じた私でした。