ディフェンダーの“無骨さ”は、時代の産物だったわけです

ディフェンダーを知らないひとが、このクルマに遭遇したとき、そのなんともいえぬ“無骨さ”ゆえに、私に声を掛けてこられます。

f:id:defender110:20170812095221j:plain

尋ね人:「このクルマ、どこの(国)のクルマですか?」
私:「イギリスの軍用車です」

だいたいは、このシンプルな回答でご納得いただけるわけです。

このクルマを言い当てる言葉として「軍用車です」と答えていますが、間違いではないものの、そもそもこのクルマが作られた目的は軍用でなくて、戦後の農耕または災害救援用として開発されたのでした。

このクルマの起源は、第二次世界大戦後の1947年に、アメリカ軍が残していったウィリス製ジープにヒントを得て、ローバー社が作った多目的四輪駆動車「ランドローバー(シリーズⅠ)」に始まります。

f:id:defender110:20170822184132j:plain

ランドローバーは、戦後の荒れた土地を復興させる道具として、農家を中心に販売を伸ばしていったそうです。当時、イギリスでは、乗用車には高額な税金が課せられ、一方、農作業車には非課税だったということで、そこを狙ったマーケティングの成功からか、予想外の大ヒットとなり、そのシンプルさ、頑丈さから英国軍に採用され、現在も活躍しています。
その後、時代の要請から内燃機関や駆動系の進化は遂げたものの、ベースとなるその姿はほぼ変わらず、現代まで生き続けてきた稀有なクルマです。

さて、表題の“無骨さ”は、当時の鉄鋼不足、コスト削減という会社の都合で生まれたものです。

鉄は少なくて高価だが、アルミは豊富で安価だったこと。また、都合がよいことに、稼働していたソリハルの製造工場が、もともと航空機製造でアルミ加工機器が揃っていたことによるものでした。

しかし、アルミの加工技術はまだまだ発展途上で、平らなアルミ板をスチールの枠にあてて成形するところまでが、手間をかけず安く作れる限度ということから、あの四角いボディ生まれたわけです。当時の技術力の限界と、手間をかけず安く製造するという時代の産物として生まれたクルマだったわけです。