NHKスペシャル「東京ブラックホール」を観た感想など

予想外におもしろかったなあ。「東京ブラックホール」。

山田孝之が「戦後ゼロ年」にタイムスリップして、当時の東京を追体験する新感覚のNHKドキュメンタリーでした。 当時のフィルムにうまくつなぎ合わせてドラマ仕立てにする技術は凄いし、とてもわかりやすかった。

戦後の映像というと白黒だが、鮮やかなカラー処理された映像で再現されると、なんだか今とシームレスにつながっているような感覚でした。

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しかし、極秘扱いだったCIA資料が情報公開で日の目をみて、そこから語られる事実には驚きました。

米軍が「日本の敗戦後を2年間維持できる」と伝えた、日本軍がかき集めた物資や食料が、軍や役人や資産家に横流しされたという現実。東京湾から引き揚げられた金塊のヤマ。国民が苦しい時代なのに、軍人や役人が隠匿物資でおいしい思いをしていた。

戦犯はすべて裁判で処刑されたのだろうと思っていたけど、占領軍は諜報員として日本の軍国主義者を保護し裁判を免れていた。

進駐軍の建設需要で土建屋が丸儲け。社会の平穏を守るためとして官製の売春施設RAA(特殊慰安施設協会)なるものが作られていたという。

天皇が神じゃなくなったら、次々に新興宗教乱立ってのもおもしろかったですね。よく戦後の新興宗教乱立の引き合いに出される踊る宗教が引き合いに出されていました。天照皇大神宮教という宗教で、現在も存続しているとのこと。

焼け野原だった東京が、現在の繁栄を築くまでには光だけではなく、いろんな闇があって、清濁併せ呑みながら現在がある。あのころ、みんな生きるために必死だった。そんな先人たちの苦労に感謝しつつ、その闇の先に現在の姿があるというのが少し理解できました。