「軍師官兵衛」第30話、「中国大返し」にみる兵站、人心掌握について

軍師官兵衛」第30話は「中国大返し」でしたね。

山崎での戦いのシーンがなかったことに違和感が

多少あったものの、それ以上にこんな大きな作戦を

行うに当たっての兵站、人心掌握術などがみてとれ

たのが、たいへん興味深く、おもしろかったです。

そのあたりのことを備忘録として書いておきたいと

思います。

まず、当時の兵は、ほぼ全員がその大名の治める

領地の農民であり、戦場に雑兵たちが集まる理由は

「ご飯」が食べられる、戦利品、褒美にありつける

からにほかなりません

とにかく200kmを走り抜けるために、沿道に

松明をかざし、兵糧(水、握り飯、わらじも含む)

を用意します。

「みなのもの、味噌は必ずなめろ!」

塩分補給に味噌、このディテールはよかったですね。

当時、味噌は貴重品だったというから、この光景は

さぞかし、すごいことだったのだろうと思われます。

水とわらじの補給のほか、走り続ける兵には「干し飯」

や「味噌縄」などを渡していたのでしょう。

それにしても、短時間に多くの兵を動かすためには、

いかに士気を上げていくかという課題があります。

まずは、城にあった軍資金や米をすべて兵に分け

与えてたこと。

これにより士気は高まり、この先、勝てばさらに褒美

がもらえるということで、いやがおうでも兵の士気が

上がります。

さらに、自軍に広がった「大返しの悪日説」、こちらは

秀吉自ら、生きて再びこの地に戻らないという決意を

しめして、うわさを打ち砕きます。

そして応援に参じた摂津の大名たちに、秀吉は髷を切り、

覚悟のほどを見せます。

そして戦う相手、光秀には、敢えて大返しを伝えて挑戦状

を突きつけ、毛利も援軍であることを伝えて動揺を計る。

まさに心理作戦、情報操作戦というものでしょう。

そして、これがいちばん大切な「大義名分」。信長の三男、

織田信孝と、織田家の重臣、丹羽長秀を陣に加えて完成。

戦いに臨むまでに、これだけのことを行い、自軍の士気を

常に上げ続けられたことこそ、この大返し大作戦の要諦の

ように感じました。