物置を掃除していたら、なつかしいリグ(無線機)が出てきたので、久しぶりに引っ張り
だしてみました。ケンウッドのTR-9300というアマチュア無線機です。
たしか、このリグには「TRIO」と「KENWOOD」のふたつのバージョンがありましたが、
私のはKENWOODのバージョンです。このリグが販売終了になることを聞きつけ、
急いで買ったものです。
そもそも性能もよかったのですが、なにより、このリグの佇まいが好きだったので、この
機会を逃してはならぬと思ったのがその理由です。
さて、1990年台、まだアマチュア無線が人気だったころ、このリグと2エレのアンテナを
持って移動運用にでかけていました。
50MHz帯には、だいたいこの時期から8月にかけて突発的に長距離通信が可能になる
「Eスポ」と呼ばれる現象が発生することがあります。
くわしい仕組みはうまく説明できませんが、かんたにいうと上空に6mの電波を反射する
反射板のような層ができるので、そこにうまく反射して電波が乗っていくと、3W程度のリグ
でもロシアとか1000~1600kmも離れた場所とフツーに交信できるようになるのです。
移動運用で景色の開けた山道の脇に、ポールを伸ばし、その先端にアンテナを設置
して、ひたすらその時を待ちます。
そして近場のひとと交信しながらいると、なにやら北海道やロシアの局が突然、すぐ
近くの局のように感度良好で入ってくるのです。
するとたちまち、多くのひとが交信を試みようとし始め、通信過密状態(パイルアップ)
になります。
交信といってもコールサインとRS(通信感度)のやりとりくらいですけど、大規模な設
備を奢る1アマさんに、3Wのリグと2エレのしょぼいアンテナで対抗して通信できた日
には、狂喜乱舞、うきうきしながら家路につくのでした。