今年の流行語「ただちに・・・」への雑感など

今年もあと数日で終わりとなってきましたので、今年話題になった

ことばについての雑感でも書いてみましょう。

3.11の東日本大震災、そしてそれに端を発する福島第一原発

事故では、枝野官房長官の会見を固唾をのんで聞き入りました。

shuttlexの備忘録と私的雑感

その会見で出た原発事故の「ただちに影響はない」という言葉に

よって、すこしほっとしたり、でもほんとうに大丈夫なんだろうかと

疑ってみたりしました。

この「ただちに」に関する類似用法としては、以下のようなものが

ありました。

「ただちに避難する状況ではない」

「ただちに禁止すべき状況にない」

「ただちに人体に影響はない」

この「ただちに・・・」については、

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無用なパニックや、無関係なものへの風評被害を押さえ

目的があっての言葉なのだと好意的に解釈するひと

その一方で、

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「政府は隠している」または、「国民を騙している」 と政府

を糾弾するひと

がいたように思います。(現在進行形?)

そこで、今頃、冷静に考えてみると、

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「ただちに○○に影響がない」 とは、短期的に見て、いま

すぐ影響が出ることはないけれども、その先は分からない、

長期的な影響はわからないという意味ですよね。

つまり、「状況がさらに変化したら、その前提条件も変わる

という、きわめて当たり前な意味なのでしょう。

だから、よくわからない状況での発表のしかたとしては、

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現段階では 「直ちに健康に影響はない」につなげてですね、

「ただし長期的な影響については調査中です」、もしくは、、

「現段階のレベルが続くのであれば問題はない」

なーんて、もうちょっとていねいに発表すべきではなかったのか

などと思っています。

それにしても、(散々既出ですけど)

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不安なときこそ、わたしたちが自分である程度判断できる、

正しい数値と基準を、迅速に、かつしっかり提示してもらう

ことが必要だということを痛切に感じました。

追記:

2011/12/26 20:45 日経新聞

福島第一原発事故の事故調査・検証委員会の中間報告では、

情報公開において、報道発表を控えたり、説明を曖昧にしたり

する傾向がみられた。

TBSの本朝の報道によると、

東電との情報収集をすみやかにすべき原子力保安院が適切に

 対応していなかった

・官邸の地下対策室で携帯が使えず、首相のいる官邸5階との

 情報共有ができていなかった

そもそも官邸に危機管理能力がないってのは、散々既出なこと

であって、なにを今さらな感じもいたします。