昨日、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が石巻市の西光寺
と仙台市の孝勝寺で、それぞれ1千人前後の被災者とともに法要と講話
を行われました。
今回の訪問は、大震災後の四十九日法要で東京護国寺を訪れたダライ
・ラマ14世に、福島県楢葉町から避難されている佐久間さんというかた
が、こう訴えたのがきっかけになったそうです。
「故郷があっても帰れません。チベットの方々と同じ心境です。被災者を
救ってください!」
石巻の会場では、所々に損壊した家屋が残る被災地の姿に、ダライ・ラマ
14世も珍しく亡命時の様子を織り交ぜ、涙を浮かべて被災者を激励され
たそうです。
とてもよいニュースでしたが、ちょっと気になったことが、これらのお寺の
宗派なのです。
石巻市の西光寺は「浄土宗」ですし、仙台市の孝勝寺は「日蓮宗」です。
私の乏しい知識では、チベット仏教というと、日本の密教(天台宗・真言宗)
よりももっと古い仏教という印象を持っています。
浄土宗のお寺で「般若心境」というのも、仏教の異宗派交流と考えれば
いいのでしょうか。
ご住職はいっしょに般若心境を唱えられたのだろうかと疑問に感じました。
そこで、ネットでチベット仏教について調べてみましたので、今宵はこの
ことを備忘録として書いておきたいと思います。
そもそも、チベット仏教と日本の仏教は、基本的に同じ大乗仏教なのだ
そうで、教義や悟りに対する考え方は大きくは変わらないようです。
そして、中国では廃絶した密教ですが、日本にはしっかり根付いている
という点も共通しているようです。
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インドで生まれた仏教(インド仏教)はその後、上座部仏教(小乗仏教)、
中国に伝わった仏教は漢訳され、その後、華厳や天台、禅のような中国
独自の教学、修行法が生まれていきました。
そして、日本に伝わり、日本人の持つ特性、本源性に合わせ、さらに日本
仏教として広がっていったそうです。
さらに、チベット仏教の特色というのをネットで調べてみると、
-------------------------------------------------------------インドから仏教が衰退したのちは、古代インド語(サンスクリット語)
で書かれた原典をチベット語に正確に翻訳し、忠実に継承している
つまり、インドの仏教のすべてが詰まっているのだそうです。
2.日本に伝わっていない教えが数多く存在している
最高の思想哲学である「プラサーンギカ派」
最奥義を実践修行する「アヌッタラヨーガタントラ派」
このふたつがチベット仏教最大の特色なんだそうです。(私には?)
ある数理体系にまとめて実践に取り入れている
とくに日本に伝えられていないインド後期密教も伝わっており、これ
がチベット密教の多くを占めているそうです。
日本では密教の修行というと、天台宗、真言宗でしか行なわれてい
ません。
4.チベット仏教は論理的であること
釈尊は弟子たちに、自ら良く考えて教えの中味を吟味し、その後はじ
めて教えを信奉するように説いておられるそうで、チベット仏教では、
釈尊のこうした戒めを肝に銘じ、盲信や実践至上主義を排し、明快な
論理による志向を重視しているのだそうです。
だから、どちらかというと情緒的な日本仏教よりも、チベット仏教は欧米
諸国への受けがいいのかもしれませんね。