ディフェンダー90のインマニガスケットをチェックしましょう

1997年と翌98年にディーラーが数量限定で正規販売したディフェンダー

90には、3.9Lのローバー製V80OHVのガソリンエンジンが搭載されて

います。

このエンジンのことは、以前ブログに書いておりますのでそちらをご覧くだ

さい。 こちらから

今回は、中古車を探すときにチェックすべき「インマニガスケット」について

お話ししてみたいと思います。

この「インマニガスケット」ですが、前オーナー、もしくは販売店で修理され

ていないかぎり、多くの中古ディフェンダー90では下の写真のようなひどい

状態になっていることが多いのです。

左側がインマニガスケット、右側が左右のロッカーカバーのパッキンです。

shuttlexの備忘録と私的雑感

では、インマニガスケットがなぜこんなに劣化してしまうのか、劣化する

と、どういうトラブルが起きるのかについて、お話ししたいと思います。

まずは、ディフェンダー90に搭載されているV8エンジンのシリンダー

ヘッド部の分解図をみていただきましょう。

私はメカニックではないので、詳細をお話しするほどの知識は持ち合わ

せておりませんので、ここでは、エンジンのシリンダー部分の構造とパ

ーツの名称をおおざっぱでけっこうですので把握してください。

今回の説明中でてくるパーツ名のみご紹介しておきます。

 2・・ロッカーカバー ※2か所あり

13・・プレナムチャンバー(上部)

12・・ラムパイプ

11・・プレナムチャンバー(下部)

10・・インレットマニホールド(インマニ)

22・・インレットマニホールドガスケット

shuttlexの備忘録と私的雑感

さて、こちらがディフェンダー90のV8エンジンです。

shuttlexの備忘録と私的雑感

直列4気筒が下の図のように、左右にV字型に配置されていることから、

「V型8気筒」、略して「V8」といっています。

shuttlexの備忘録と私的雑感

そして、下のランドローバー4.0と記載された長方形のカバーが、

「プレナムチャンバー」です。

shuttlexの備忘録と私的雑感

下の写真のプレナムチャンバーの右側から外気(エア)が入ると、この

チャンバーの機能により、エアが整流されて、均一に8つのシリンダー

に入っていくようになります。

shuttlexの備忘録と私的雑感

このプレナムチャンバーの下部には「インレットマニホールド」と呼ばれ

る機器が取り付けられています。

これが分解されたインレットマニホールドです。

shuttlexの備忘録と私的雑感

この機器は、エンジンに吸入させる空気を各気筒に配分するための集

合管(マニホールド)のことで、略して「インマニ」と呼んでいます。

さらにこのインマニ部にはエンジンの冷却のために循環しているクーラ

ント(ラジエターからくる冷却水のこと)の循環系統もいっしょになってい

るのです。

つまりインレットマニホールドは、エンジン燃焼用のエアと冷却水

分配装置なのです。

※上部写真の赤丸にあるのが、ラジエターからのアッパーホースの口

です。

このインレットマニホールドとエンジンとを接合するのに使うパッキンが

「インレットマニホールドガスケット」になるわけです。

もうお分かりになりましたよね。

ガスケットの経年劣化で冷却水が滲み出して、ガスケットを侵食す

ために、いちばん上の画像のようにガスケットがぼろぼろになって

まうのです。

この車両でも下の赤丸の右下部分を見てください。劣化してガスケット

が剥がれてきています。

shuttlexの備忘録と私的雑感

このガスケットが劣化してくると、

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1.冷却水の漏れが続くこととなり、漏れては蒸発を繰り返し、冷却水

  不足で最悪の場合、エンジンが焼きつきを起こしてしまう

2.外気をこのガスケットのスキマから吸入する事態になり、調整外の

  エアの流入により、エンジン吹きあがり不調やエンストが発生します

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さて、これが実際に分解されたパーツです。

shuttlexの備忘録と私的雑感

そして、シリンダーヘッドを取り除かれたV8エンジン部です。

shuttlexの備忘録と私的雑感

このように大掛かりな分解をして整備が必要になりますので、作業工賃

が半端なく高額になります。(数十万円の工賃)

もし、あなたがディフェンダー90の中古車をお探しなら、ここの

状態をよく確認してみてください!

もし、一般中古店で出合ったディフェンダー90が、ちょっと不安な状態で

あることがわかったら、この整備について販売店さんに訊いてみましょう。

将来は??でも、いまは問題ないとのことなら、

1.その状態で買ってから、のち不調になったときに点検整備する

2.販売店と相談して買う段階で点検整備する

最悪なのは、そんな説明も受けずに(販売店も知らない)、その他

一般的な国産車と同じ判断基準で購入して、その後不調になって、

その点検費用に驚き、泣く泣く売りに出す、そんなオーナーが多い

というのも、このクルマの実情なのです。

ランドローバーのディーラーさんや、専門店の肩を持つわけではないので

すが、これらのメカさんは、ディフェンダーの泣き所をよく理解されています。

だから、ランドローバーのディーラーや専門店で販売されているクルマは、

ガスケット交換を含む点検整備までやってあることが多いです。

だから、一般販売店よりも価格が高いわけです。

国産車のように、どんな使われ方をしていても、まあそこそこ乗れるという

クルマではなく、基本自分で整備して長く乗るが外車(とくに旧車)のスタン

スでもあります。

今回はエンジン部のお話しでしたが、他にもこのようなチェックポイントが

いくつか存在します。

また、折に触れて、ブログでこのことをお話ししていきたいと思います。