山の会のメンバーが観に行ってよかったというので、ならばと昨日、
鑑賞してまいりました。
まあ、アルプスの雄大な景色が観れるだけでもよしというくらいで
出掛けたのですが、なんとうれしい誤算でした。
壮大なアルプスの映像とともに、遭難救助という修羅場ながら、暗く
悲しくならず(涙は出ますが・・)、爽快感さえ覚えた映画でした。
原作の三歩の、純粋なところ、ひたむきなところ、優しいところを小栗旬
が、忠実に演じてました。
久美を演じた長澤まさみも、新人山岳救助隊負として、負けず嫌いで
責任感も強いところを、体当たりの演技で魅せてくれました。
ただ、遭難救助が主題なのでしかたないのですが、登山=遭難という
イメージをご覧になったかたがもたれるのが、山をやってる人間から
すると、どうかなと思う半分、最近の登山ブームで、軽装登山などす
る非常識なひとがいるし、それに警鐘を鳴らす意味でならいいのかな。
(映画内でもそのシーンあり)
また、映画にあった「バクダン低気圧」、私は数年前、乗鞍山麓で体験
したのです。場所が山麓のキャンプ場だからよかったものの、突然襲った
猛烈な風と吹雪でした。テントを確保するのがやっとという状況でした
から、山の上じゃたいへんだ・・と思っていたら、実際、その低気圧で
遭難者が出ました。
さて、いつものようにネタばれぎみにレポートしたんでは、まだご覧に
なっていないかたに悪いので、ここは視点を変えて、この映画で出てき
た山の装備についてお話ししてみましょう。
学生時代に登山と沢登りをやっていたので、かつての知識にネットの
チカラを借りてみます。(誤りがあったらすいません)
それでは、久美ちゃんの冬山装備をみてみましょう。
①ピッケル
積雪期の登山に使うつるはしのような道具です。
支点の確保や氷雪上での足掛かり、滑落停止など用途のたくさんある
冬装備の必携グッズです。
つぎに、三歩が久美ちゃんを救出に向かった際に両手に持っていたのが、
この特殊なピッケルでした。
「バイル」(アイスハンマー、アックス)というものです。
ピッケルと比べてヘッドの細く尖った刃が鋭く、かつ鎌のように
湾曲していて柄が短いため、支点確保やそのままハンマーと
して使えます。
残念ながら、私はこのアックスは使ったことがありません。
そして今回の映画では、救助隊員が腰に山の装備をいっぱい
着けて、これがぶつかりあってジャラジャラと音を立てると
ころが、山のプロらしさを引き立てていました。
では、この装備(ジャラモノ)について、久美ちゃんの装備
からみてみましょう。
①スリング リング状の紐で、カラビナと使って簡易な安全確保をする道具です
②ハーネス ウエストに付けるベルトでこれにザイル等をつけて身体を確保する道具です
③カラビナ 登山でロープなど登攀用具を接続する道具です
※ファッションとして売っているものは強度的にまったく使えません
※登攀用具のカラビナには強度の数値が刻印されています。 例:7KN・・700kg
④ヌンチャク(環付きカラビナ付き)登攀中に支点に一方を付け、もう一方をザイルに付けます。
※支点・・登攀の安全確保でロープや身体を掛ける場所
⑤エイトカン 下降時にロープの途中に付けておくと、荷重が掛ったとき降下が緩やかになる便利品
⑥アセンダー ロープを垂直に登っていくとき使う道具です。
これにロープを通すと受けにずらせるが、下にはロックがかかります。
⑦ビレイ 下降用に使う道具です。うえのエイトカンの進化系とでもいうもの。
さて、映画の最後に「また山においでよ!」と笑って言う三歩
の表情がステキでした。
まあ、山やってないひとには「ドン引き」されるかも・・(笑)
「もう~、感動したぁ~!!」って抱き合うシーンを山でやって
みようかなあ。
三歩:
クイズ、山に捨てちゃいけないものは?
さて、なんでしょうか? 答えはふたつ。