「夢の中にいて外国の映画でも見ているような気分」で」土葬を
了承されたとのご遺族の話しに、現場の凄さを感じずにいはおれ
改めまして、今回の震災でお亡くなりになられたみなさまの
日本人が、古くからの土葬をあっさり火葬に切り替えられた、
そのわけが気になって調べてみました。
折口信夫著『霊魂の話』という書籍によると、
日本人は古代から、森羅万象に霊性が宿り、宇宙は神霊の意思
それは人間においても、肉体と霊魂とは別のものであり、霊魂自
体が実体をともなったものという意識があったのです。
-----------------------------------------------------
つまり、人が生まれるということは、霊魂がある者の身体に宿ると
この霊魂は、肉体を離れた後、すぐに遠くへいなくなってしまうわけ
遺族が供養したのは、亡骸というより、この漂う霊魂を対象として
現在も日本各地で古くから行われている、祭りや年中行事ですが、
これは、神となった霊魂をねぎらうというものがベースになっている
のだそうです。
日本人が古来脈々と抱いてきた生死観というものがあり、さらには、
その後伝来した仏教においても、その教義※において、残った遺体
は単なる物体扱いとなり、かなり無頓着でした。
※仏教における世界観、人生観の基本として「三法印」というものが
あるそうです。
それは、諸行無常(しょぎょうむじょう)、諸法無我(しょほうむが)、
涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)の三つです。
諸行無常・・何ひとつとして恒常な存在というものはない
諸法無我・・すべてのつくられたもの(諸法)には実体がいない(無我)
涅槃寂静・・あらゆる煩悩がなくなった心安らかな状態のこと(悟りの世界)
日本人の生死観として、埋葬に対して寛容な土壌をもたらして
きたというもののようです。
※日本の八百万の神々は、実は様々な仏様が化身として日本の地に
あらわれたものであるという神仏習合思想のこと